ノロウイルスの特徴
ノロウイルスは約7,500塩基を持つ、プラス鎖の一本鎖RNAウイルスに分類されるエンベロープを持たないです。形状は、直径 30-38nm(ナノメートル)の正二十面体であり、ウイルスの中では小さい部類に属します。電子顕微鏡で見たときに、その表面にコップ状の窪んだ構造が観察されることがカリシウイルス命名の由来となりました。現在、ノロウイルスに属するウイルスはGenogroup I (GI)とGenogroup II (GII)の2つの遺伝子群に分類され、さらにそれぞれは14と17あるいはそれ以上の遺伝子型に分類されています。2015年の秋から2016年の春にかけて、今まで流行していたノロウイルスの遺伝子が突然変異し、新しい種類が流行している事を川崎市と国立感染症研究所が発表しました。今まで流行している種類に対しては、ヒトも免疫力がありますが、新しい種類は免疫力も無く大流行することもあり注意を呼び掛けています。また、各遺伝子型に対応 した血清型があると考えられ、極めて多様性を持った集団として存在する。下図に構造蛋白コード領域の上流部分約250塩基の塩基配列に基づいて作成した系 統樹を示した。この領域は、後述する検出用RT-PCRプライマーG1SKF & G1SKR, G2SKF & G2SKRによって増幅されるPCR増幅産物の、プライマー部分を除いた領域である。GI, GIIに含まれる遺伝子型番号は欧米の研究者らと協議の上、Fields VIROLOGYの第4版に従ってナンバリングした。ヒトに感染するノロウイルスは、実験に必要な病原体を動物で培養する事が出来ず、人体実験で培養する事も倫理的に難しく、実験室で培養させる方法が確立されない為に研究も遅れています。特徴は、寒く乾燥した環境を得意としており、乾燥した状態でも4℃では8週間程度、20℃では4週間以上感染力を失わないとされています。
RT-PCRプライマーG1SKF & G1SKR, G2SKF & G2SKRによって増幅される領域のうち、プライマーの部分を除いた253塩基をDDBJのclustalWを用いてアライメントし、Kimura
2-parameterで遺伝学的距離を算出した。分岐点検定のためブートストラップ検定は1000回行い、950以上を統計学的に有意な分岐とした。系
統樹はclustalWの値に基づき、Njplotで 作成した。遺伝子型別はKatayamaら(Viology 299, p225-239, 2002)の方法に基づいて行い、遺伝子型番号についてはFields
VIROLOGYの第4版に従った。*印は、VLPと免疫血清を用いたEIAで、相互に抗原性が異なることを確認済みの遺伝子型である(国立感染症研究の情報)。
ノロウイルスの感染と原因
- ノロウイルスに感染した調理従事者の手指から飲食物を汚染する二次汚染
- 牡蠣など二枚貝などノロウイルスに汚染した食品を生食
- ノロウイルスに汚染された食品を加熱不十分のまま食べた
- 汚染された食品を加工したときの調理器具を介して他の食品を汚染したものを食べた
- 感染者の下痢便や嘔吐物など汚物がトイレなので手指に付着し、手洗いが不十分により感染
- 次亜塩素酸ナトリウムを用いたノロウイルス消毒液の濃度、使い方が問題があった
ノロウイルスに感染と症状
- ノロウイルスに感染すると激しい嘔吐や下痢、腹痛が発生
- 感染初期に発熱、頭痛、筋肉痛の症状がある
- ノロウイルスの潜伏期間は1日から2日
- 体調が回復しても病原体を含んだ便を数週間から1か月程度排出する
- 激しい下痢や嘔吐により脱水症状、誤嚥性肺炎や窒息に注意
- 子供は嘔吐、成人は下痢の症状が現れる事が多い
- 感染しても下痢や嘔吐などのノロウイルスによる症状が現れない事もある
- ノロウイルスの症状がある時は、無理な食事は避け様子をみましょう
- 重症化することも少なく、直接ノロウイルスが原因で死亡するケースは少ない
- 医学が進歩した現代でもノロウイルスのワクチンや治療薬は開発されていない
- ノロウイルスの感染を疑う症状があっても検査しないことが多い
- ノロウイルス患者さんの汚物を処理する方法
ノロウイルスの予防
- ノロウイルス感染予防のポイント
- 冬場にノロウイルスによる感染が流行 特に11月から2月は必要が必要
- 食品は十分に加熱することでノロウイルスを消毒できる
- ムラ無く加熱すれば電子レンジの加熱でもノロウイルスの消毒は可能
- マスクの着用はノロウイルスだけではなくインフルエンザの予防にも有効
- ノロウイルスの感染予防はトイレ使用後の手洗いがポイント
- 空間を消毒できるクレベリンは有効か 消費庁が疑問
- 食品を冷凍してもノロウイルスは死滅しない
- インフルエンザの消毒にあるアルコールだがノロウイルスには効果が無い
- 次亜塩素酸ナトリウムでノロウイルスを消毒
- 次亜塩素酸ナトリウムとは塩素系漂白剤
- 家族からノロウイルスの感染をしない様に注意が必要
- ノロウイルス患者さんの職場復帰の目安