ノロウイルスによる空気感染は低い
ノロウイルスは、非常に感染力が強いですが空気感染の可能性は低いと思われます。流行するのは、寒く乾燥する秋から冬です。同じ時期に流行するインフルエンザの予防にもなりますので、受験生など絶対に発症したくない方はマスクの着用をお勧めします。特に空気感染や飛沫感染に注意しなければいけないのが、ノロウイルス感染者を介助される方です。症状は、激しい下痢や嘔吐の症状が突然現れる事もあります。また、ノロウイルス患者さんが咳やくしゃみをすると、ノロウイルスを多数含んだしぶき(飛沫)を周囲にまき散らします。冬の乾燥した空気中ではウイルスを包む水分が蒸発しやすく、ウイルスが身軽になって浮遊し、周囲の人がそれを吸い込んでしまいます。これを飛沫感染といいます。
飛沫感染によるノロウイルスの感染リスク
飛沫感染とは、咳やクシャミなどにより飛沫状になったものを体内に取り込み発症することをいい、一般的に(5μm以上の大きさの粒子によるものをさします。ノロウイルス患者さんは、激しい下痢や嘔吐を繰り返し大量のノロウイルスを含む汚物を排出します。その際に勢いよく排出することで汚物の一部は飛沫となり舞い上がり周辺を汚染します。飛沫感染が発生する距離は、だいたい1m前後とされており突然の嘔吐以外は近くにいる可能性は比較的低い事から飛沫感染によるリスクは低いと考えていますが、ノロウイルスを介助する方などは注意が必要です。
粉塵感染によるノロウイルスの感染リスク
ノロウイルスを含む粉塵によるリスクも考えられます。粉塵による感染は、下痢や嘔吐したまま汚物が乾燥し、強風などに煽られ風と一緒に舞い上がることで私たちの体内に入りことをいいます。ノロウイルスは、乾燥した状態でも死滅(不活化)しないウイルスです。冬場の寒く乾燥した状態では1ヶ月程度死滅しないこともわかっています。そのため、屋外などの汚物には近づかないほうが良いでしょう。2006年12月に発生した東京都豊島区のJR系のホテルで発生した集団感染症では、患者さんがホテルで嘔吐をし、その清掃(消毒)が不十分であった事から他の宿泊客も発症し集団発生しました。この事件が発生した頃から二次感染の予防に注目し、患者さんの下痢や嘔吐などの汚物を適切に処理する意識が高まりました。
ノロウイルスによる空気感染の予防方法
空気感染を防ぐためには、患者さんや汚染源に近づかないことが最も重要であります。受験生など大切な時期にノロウイルスを発症したくない方は、マスクなどを使用することもおすすめします。ノロウイルスが流行する時期は、インフルエンザが流行する時期でもありマスクを使用することでインフルエンザの予防にも期待できます。その為、冬場の外出時には、マスクの着用、帰宅時には手洗いの実施が重要になります。空気感染以外のリスクについて説明します。最も注意しなければいけないのが、私たちの手や指先が汚染され、そのまま食品などに触れることで体内に侵入することです。予防のポイントは、体内に侵入させないことが重要であり、食品の十分な加熱と手洗いの徹底がポイントになります。クレベリンによる空気中のノロウイルス消毒
一部マスコミやネットで騒がれています。大幸薬品のクレベリンですが、インフルエンザやノロウイルスを不活化(消毒)する効果があると言われています。予防をさらに確実にするために補助的に使用するのもいいかと思います。しかし、消費者庁は、クレベリンの性能について、科学的な根拠が薄いという理由で景品表示法の行政指導を出しました。この指導に対して大幸薬品などは、争う姿勢を見せており今後の動向が注目されます。
空気感染のリスクはゼロではないがマスクでシッカリ予防するのがおすすめ
ノロウイルスによる空気感染は低いと思われますが、飛沫感染や粉塵感染のリスクはあります。しかし、これらの感染は、患者さんが吐き下しをした汚物に近づかないことでリスクを低くすることができます。二次感染を予防することが予防するうえで非常に重要な対策の1つであります。空気感染する疾患場合(たとえば結核や麻疹)では、私たちヒトが病原体保有者が移動することで拡大します。ノロウイルスの場合も病原体保有者が移動先で下痢や嘔吐をすることで感染を拡大することはありますが、空気感染の可能性は低いと考えていいでしょう。その為、下痢や嘔吐の症状がある間は、出来るだけ外出せず自宅で安静にしていましょう。また、外出先で特に注意をしなければいけないのは、トイレでありトイレ使用後はしっかり手洗いをすること、汚物には近づかないことが非常に重要です。