ノロウイルスの歴史
ノロウイルスの歴史は、昭和40年代アメリカの小さい町で起きた集団食中毒です。その地名(オハイオ州ノーウォーク)から『ノーウォークウイルス』と呼ばれたのが最初です。その後、世界各地で食中毒事件が発生し、最初に発生した土地の名称を用いた『ノーウォークウイルス』の名前が広まっていきました。その後、電子顕微鏡等で分析した結果、その形状が非常に小さく丸い形であった事から小型球形ウイルス(Small Round-Structured Virus, SRSV)とも呼ばれました。このウイルスは、粒子の表面に32個のコップ状のくぼみがあることから、ラテン語でコップを意味するcalixにちなみ、カリシウイルスという科に分類されました。小型球形ウイルスの頭文字をとって(Small Round-Structured Virus, SRSV)と言われていた時期もあります。
日本国内におけるノロウイルスの歴史
日本国内でのノロウイルス感染事例の歴史は、1977年に札幌市で集団感染発生した胃腸炎からSRSVが発見され、サッポロウイルス(Sapporo virus)と名付けられた。電子顕微鏡で詳しく調査した結果、「ダビデの星(Star of David)」と形容される特徴的な構造が見られ、その他の特徴からも、カリシウイルス科の中でもノーウォークウイルスとの違いが大きいものと考えられた。そのため「ノーウォーク様ウイルス」とダビデの星型の構造を持つものを「サッポロ様ウイルス」という仮称を用いて分類するようになった。
ノロウイルスの歴史の中で幾度が名前が変更されている
その後の調査でウイルスにより急性胃腸炎症状を起こすものには「ノロ」と「サポ」の2種類がある事がわかり、2002年、第12回国際ウイルス学会(パリ)において、それまでノーウォーク様ウイルスと呼ばれていたものを「ノロウイルス属(Norovirus)」、サッポロ様ウイルスと呼ばれたものを「サポウイルス(Sapovirus)」という名称で呼ぶことが定められた。現在、胃腸炎ウイルスとして世界的に認められているのは、ロタ・ノロ・サポ・アデノの一部・アストロの4種類のウイルスがあります。2003年に食品衛生法の一部改正を行い、「SRSV」を「ノロウイルス」に改正しました。
過去に発生した感染者500名以上のノロウイルス食中毒の歴史
- 平成17年 0件 ノロウイルス食中毒の報告はない
- 平成18年 6件 秋田県(弁当、仕出屋、781名) 埼玉県(仕出弁当、仕出屋、710名) 千葉県(不明、仕出屋、507名) 山梨県(ロールキャベツ(トマトソースがけ)、学校-給食施設-、585名) 大阪府(仕出弁当、仕出屋、801名) 奈良県(仕出弁当、仕出屋、1,734名)
- 平成19年 1件 鳥取県(かみかみ和え(推定)、学校-給食施設-、864名)
- 平成20年 1件 広島県(弁当、仕出屋、749名)
- 平成21年 1件 岩手県(朝食バイキングの食事、旅館、636名)
- 平成22年 1件 岡山県(不明、仕出屋、1197名)
- 平成23年 1件 岐阜県(給食弁当、仕出屋、756名)
- 平成24年 2件 山梨県(弁当、仕出屋、1,442名) 広島県(弁当、仕出屋、2,035名)
- 平成25年 1件 愛知県(弁当、仕出屋、526名)
- 平成26年 1件 静岡県(食パン、製造所、1,271名)
厚生労働省をはじめとする国内行政のノロウイルス対応の歴史
- 平成 9年 食中毒統計を見直し、病原物質に小型球形ウイルス(ノロウイルス)を追加
- 平成10年 生食用かきの表示基準の改正(採取海域を追加)
- 平成16年 (平成18年改正)ノロウイルスに関するQ&A 手洗いの励行、食品取扱時の汚染防止、糞便や嘔吐物の適切な処理、食品の十分な加熱等
- 平成19年 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会開催
- 平成20年 大量調理施設衛生管理マニュアルの改正 「ノロウイルス食中毒対策について(提言)」を踏まえ、手洗いの励行、食品取扱時の汚染防止、糞便や嘔吐物の適切な処理、食品の十分な加熱等の対策 について改正
- 平成24年 感染性胃腸炎の増加を受け、全国の自治体に対して、ノロウイルスによる食中毒の予防について、一層の普及啓発を行うよう通知を発出(11月〜1月)また、事業者向けに、必要な対策をまとめたリーフレットを作成し、自治体及び関係 団体で配布
- 平成25年 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会開催(平成25年3月) 平成24年の食中毒状況を踏まえ改正
- 「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針」 食品取扱施設等における衛生管理に「使い捨て手袋の交換」、「手洗い、健康管理の衛生教育」、「おう吐物等により汚染された可能性のある食品の廃棄」、「施設でおう吐した場合の 消毒」等を追記
- 「大量調理施設衛生管理マニュアル」 「⼆枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の加熱温度を85〜90℃で90秒間以上」に改正
- ノロウイルスの流⾏期に備えて、全国の自治体に対して、ノロウイルスによる 食中毒の予防について重点的に事業者に指導等を実施するよう、通知を発出 (平成25年10月、平成26年10月、平成27年9月)
- 食品を取り扱う事業者向けに、必要な対策をまとめたリーフレットを作成し、 自治体及び関係団体で配布(平成25年)
- 「食品・添加物等の年末一斉取締り」を平成25年は、例年より1ヶ月前倒しし て11⽉に実施し、更なるノロウイルス食中毒の発生防止の徹底を図るため、 自治体を通して大量調理施設(給食施設等)等に対する監視指導の強化及び食 品取扱い事業者に対する普及啓発を実施
- 食中毒原因施設の立ち入り調査結果を全国の自治体及び 関係団体に対し通知し、改めて監視指導、周知の 徹底を要請(平成26年1月) ・適切な手洗いの実施 ・手袋の適切な交換 ・塩素を用いた消毒 等