アルコール消毒がノロウイルスに効かない理由
アルコールがノロウイルスに効かない理由は、ノロウイルスの構造に理由があります。インフルエンザや腸管出血性大腸菌O157などは、アルコールに触れると病原体の表面の脂質やタンパク質が変性し不活化させます。アルコールによる消毒効果が無いのは、細胞やウイルスに存在しているエンベロープが大きく関係しています。エンベロープとは、細胞やウイルスを保護する膜でありインフルエンザウイルスやRSウイルスなど約80%のウイルスがこの膜を持っています。このエンベロープは、脂質で出来ておりアルコールに触れることで溶かし不活化することができます。しかし、ノロウイルスには、このエンベロープが無いためにアルコールによる消毒が効かないのです。ノロウイルス同様にエンベロープが無い病原体としては、ロタウイルスや風邪症候群の原因であるアデノウイルスなどもあります。また、アルコールは、脱水作用があり、非常に揮発性の高い液体なので細胞内部に入るとすぐに揮発して蒸発してしまいます。この時、アルコールと一緒に細胞内部の他の液体もろとも蒸発するので細胞内部をからからに乾燥させてダメージを与える事ができます。この様な理由から細菌に対しては効果があると言われています。)
次亜塩素酸ナトリウムがノロウイルス消毒に有効
ノロウイルスの消毒には、アルコールではなく次亜塩素酸ナトリウムが有効です。次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒は、加熱できない食材(生野菜など)や設備や機械さらに私たちの体など様々です。感染予防など一般的な消毒は、次亜塩素酸ナトリウムの濃度を100ppm~200ppm程度で行います。濃度が高ければ短時間での消毒効果が期待でき、濃度が低ければ長時間かけて消毒する必要があります。次亜塩素酸ナトリウムは、アルコールと異なり短期間に大量摂取する事で人体への影響がある成分です。その為、生野菜など食品を消毒する際には100ppmで10分間を目安に消毒を行います。 次亜塩素酸ナトリウムは塩素系漂白剤に含まれる成分です。近くのスーパー、ドラッグストアーで手軽に購入することができます。しかし、同じ漂白剤でも酸素系漂白剤は、アルコール同様にノロウイルスを消毒する働きがありませんので注意してください。ノロウイルスの感染予防には、アルコール消毒が使えず手洗いの徹底が非常に重要となります。ノロウイルスは、非常に感染力が強く少量でも体内に侵入すれば激しい下痢や嘔吐など症状があらわれます。その為、体内に侵入させないことが非常に有用であります。ノロウイルスにに感染する原因は、大きくわけて2つあります。1つは、ノロウイルスに汚染された牡蠣などの食品を摂取してしまった。もう1つは、ノロウイルスが指先に付着し素手で食品などに触れて体内に取り込んでしまった。前者は、食品を十分に加熱することでリスクを回避することができますが、後者は、指先を清潔にすることしかありません。ノロウイルス感染の可能性が高いのはトイレが最も高いといわれています。特に公衆トイレなど不特定多数が利用するトイレは注意が必要です。このような場所でトイレを利用した場合には、色々な場所にノロウイルスが付着していると思いシッカリ手洗いをすることをおすすめします。
食中毒や感染症を起こす病原体 | アルコール消毒 | 塩素による消毒 | 加熱消毒 |
細菌型食中毒 (腸管出血性大腸菌O157ほか) |
◎ 効果あり |
◎ 効果あり |
◎ 効果あり |
毒素型食中毒 (ボツリヌス菌) |
× 毒素には効果なし |
× 毒素には効果なし |
× 毒素に効果なし |
ウイルス性食中毒 (ノロウイルス食中毒) |
× 効果なし |
◎ 効果あり |
◎ 効果あり |
インフルエンザ | ◎ 効果あり |
◎ 効果あり |
◎ 効果あり |
自然毒や化学物質 | 中和・解毒は不可能 | 中和・解毒は不可能 | 中和・解毒は 不可能 |