牡蠣によるノロウイルス感染

牡蠣とノロウイルス

ノロウイルスによる食中毒が大流行しニュースなどで話題になった時、以前は二枚貝など牡蠣が原因だと言われてきました。牡蠣を食べるとたまに激しい下痢や嘔吐をする報告が多かったため原因食材である考えを示していました。その後、牡蠣を詳しく調べると餌であるプランクトンを捕食する器官(中腸腺)にノロウイルスを蓄積することがわかり「牡蠣などの二枚貝がノロウイルス食中毒の原因」と言われる様になり、牡蠣が売れない時期がありました。牡蠣の産地である広島県や宮城県は、必ずしもノロウイルスの原因ではないことを説明するため、養殖業者の指導やPR活動などを行てきました。近年、食中毒統計を調べると牡蠣が原因となったノロウイルス食中毒は数パーセントであり食中毒の大部分が牡蠣以外の食材である事がわかりました。牡蠣は、ノロウイルスに汚染されやすい構造となっていますが、必ずしも主たる感染原因ではないことについて説明します。

牡蠣など二枚貝はノロウイルスに汚染されやすい

ノロウイルスの原因と言われている牡蠣

牡蠣(oyster)は、古くから世界各地の沿岸地域で食べられている貝の1種であり、マガキやイワガキなどの大型種が有名です。牡蠣には、グリコーゲンのほか、必須アミノ酸をすべて含むタンパク質やカルシウム、亜鉛などのミネラル類をはじめ、さまざまな栄養素が多量に含まれるため、「海のミルク」と呼ばれています。牡蠣フライのような揚げものや、鍋物の具にして食べるほか、新鮮なものは網焼きにしたり生食したりする。

しかし、古くから牡蠣を食べると「あたる」=食中毒を起しやすい食材と言われています。二枚貝の中でも牡蠣は生食する機会が多く、鮮度が悪い牡蠣を食べると下痢や嘔吐したと考えられます。また、餌であるプランクトンを捕食する為に中腸腺という器官が二枚貝にはあります。海水中に含まれるプランクトンのみを捕食できるフィルターである中腸線にノロウイルスが蓄積します。下の写真は、牡蠣とホタテの中腸腺を示したものです。牡蠣の中腸腺は、身の中に入り込んでおり取り除くことができません。一方、ホタテは貝柱と中腸腺を切り分けることができます。貝柱を取り除く際に誤って中腸腺などを包丁で傷つけ中身が出ない様に注意が必要です。

牡蠣の中腸腺が汚染 ホタテの中腸腺

牡蠣が汚染する原因は生活排水

牡蠣は、そもそも汚染されている訳ではなく、育った海域がノロウイルスに汚染が原因だと考えられています。海が汚染される原因は、残念ながら私たちの生活排水です。ノロウイルスに感染した下痢や嘔吐の汚物にも大量の病原体が含まれており、下水を通って処理場に行き海へ流されます。この時、汚水処理場では、消毒出来ず生活排水が流れ込む沿岸部は汚染されています。沿岸部に近い海域で育った牡蠣は汚染されている可能性が高く加熱して食べる必要があります。

汚染されている牡蠣の見分け方

ノロウイルスに汚染されている牡蠣であるか判定する方法は、残念ながらありません。食中毒菌やウイルスの多くは、食品を汚染しても無味無臭で五感で判定することは難しいです。スーパーなど小売店で販売される牡蠣には、「加熱用」と「生食用」に分けられて販売しています。これは食品衛生法で定められているルールであり、生菌数や大腸菌数で一定の基準より多い菌が検出される場合には「生食用」として販売はできず「加熱用」として販売しなければいけないルールになってます。大腸菌は、私たちヒトの腸内に生息する菌であり、大腸菌が多い加熱用牡蠣は、ノロウイルスに汚染されているリスクが高いといえます。その為、安いからといって加熱用を生で食べれば感染するリスクは非常に高いと言っていいでしょう。

残念ながら販売されている牡蠣を購入時にノロウイルスに汚染しているか確認する方法はありません。生食用かきは食品衛生法において、成分規格、加工基準、保存基準が決められています。また、各自治体では、「かき取扱いに関する指導要領」が定められ生食用かきの指導基準が設けられています。牡蠣には「生食用」と「加熱用」があります。実は鮮度の違いではなくて細菌数の違いなので決められています。これは養殖する海域によって指定されています。その為、ノロウイルスに汚染されてないことを証明している訳ではありません。もし、正規に流通している生食用牡蠣を正しい保存方法や調理方法で提供してノロウイルス食中毒が起きた場合、行政処分を受けることになります。矛盾も感じますが、今の法律だとそうなってしまいます。

生食用牡蠣の細菌等の衛生基準

 ・ 細菌数が 1g 中 50,000 以下
 ・ E.coli(大腸菌)最確数が 100g 中 230 以下
 ・ オキシテトラサイクリン(抗生物質)が 0.2ppm 以下
 ・ スピラマイシン(抗生物質)が 0.2ppm 以下
 ・ むき身にしたもの
 ・ 腸炎ビブリオの最確数が 1g につき 100 以下
 ※生牡蠣の衛生的な基準にノロウイルスはない。

生食用牡蠣の基準を満たすために、紫外線殺菌された海水中や人工海水などを充分に循環させた環境下にて絶食状態として数日間飼育される場合がある。この場合、貝表面や貝内部に取り込まれた細菌の大部分を貝内から排出させほぼ無菌状態になるが身が痩せてしまう。食中毒症状を引き起こす原因としては貝毒、細菌(腸炎ビブリオ大腸菌など)とウイルス(特にノロウイルス)がよく知られているが、どの原因も生育環境(海水)に由来するものであり、二枚貝特有の摂餌行動などによって貝内部、特に消化器官(中腸腺など)に取り込まれ濃縮されるものである。貝毒以外の食中毒の予防のために留意すべきことは、十分に加熱することで食中毒を回避できる牡蠣を含むいずれの二枚貝も、同様の処理で食用にする限り食中毒の危険度に関しては変わりません。

ノロウイルス食中毒の原因は牡蠣以外の食材が多い

牡蠣が汚染されやすい話をしてきましたが、実際発生しているノ食中毒のうち牡蠣が原因食材となったのは1割未満であります。ノロウイルスによる食中毒の多くは、二枚貝以外の食材であり、パン、和菓子、野菜などです。これらの食材が汚染された原因は、二次汚染だと思われます。二次感染とは、感染した病原体保有者が食品などに触れ汚染を拡大することです。感染すると体内で増殖すると便と一緒に排出されます。患者さんがトイレでお尻を拭く際に指先に少量の便が付着したり、下痢や嘔吐の症状で便座など広範囲に汚染することで手指が汚染し、手洗いが不十分が原因で汚染が拡大します。感染原因の大半は、二次汚染だと思っていいでしょう。その為、トイレの後の手洗いは非常に重要だといえます。

ノロウイルスの基礎知識



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