ノロウイルスは冬に感染者が増える
厚生労働省が発表した食中毒統計などの情報によると我が国で発生している原因物質別の食中毒発生件数では、カンピロバクター食中毒に次いでノロウイルス食中毒は第2位となっています。しかし、原因物質別の患者数で見るとノロウイルスは、第1位となっており1件あたりの患者数が多いのが特徴です。ノロウイルスの流行は、毎年11月頃から翌年の3月頃までがピークですが、夏場も発生件数が少ないが発生しています。これは、食中毒を引き起こすノロウイルスが寒く乾燥した状態を好むことと関係しています。ある研究機関の報告によりますと気温2度でステンレスの板の上に付着したノロウイルスは1ヶ月以上もの間、不活化(死滅)し、逆に気温が高い状態ですと数日で不活化しまうことがわかっています。また、冷凍の状態でも不活化しません。ノロウイルスは、私たちの腸内でしか増殖することができません。その為、ノロウイルス患者さんの下痢便や吐物には、大量のノロウイルスが含まれており、勢い良く下痢や嘔吐をすることで便器や患者さんの手指などが汚染されます。そのまま色々な所を触れる事でノロウイルスの汚染範囲は拡大します。特に不特定多数が利用する公衆トイレや駅、大型商業施設、病院などでは、ノロウイルス患者さんが、いつ、どのように、使用したかわかないため十分に注意した方が良いでしょう。また、学校や会社など特定多数の方が使用するトイレでも注意が必要です。
ノロウイルスの感染者推移の推移
国立感染症研究所の発表によりますと平成27年10月26日から平成27年11月1日(第44週)の1週間に事前に指定された定点医療機関から報告があった患者数は15,919人でした。これは、前の週(第43週)に比べて、プラス2,291人であり、定点あたりの報告数は、5.06人でした。都道府県別でみると宮崎県が最も多く14.17人、次いで、福井県(13.82)、鹿児島県(11.98)、熊本県(10.36)、鳥取県(9.89)の順番となっております。直近10週のノロウイルス発生状況は、次のとおり。
- 44週:15919人(先週比 2291)
- 43週:13628人(先週比 3235)
- 42週:10393人(先週比 169)
- 41週:10224人(先週比 389)
- 40週:9835人(先週比 3511)
- 39週:6324人(先週比 -3358)
- 38週:9682人(先週比 -775)
- 37週:10457人(先週比 -266)
- 36週:10723人(先週比 1112)
- 35週:9611人(先週比 -109)
- 34週:9720人(先週比 2274)
ノロウイルスの感染予防
ノロウイルス感染予防のポイントは、手洗いの徹底、食品の十分な加熱、家族の健康管理です。ノロウイルスの感染は、この3つのノロウイルス感染予防のポイントが厳守できなかったことが発生の原因だと思っていいでしょう。ノロウイルスは、非常に感染力が強く少量でも体内に侵入すると爆発的に増殖をします。そして、医学が進歩した現在でもノロウイルスを予防できるワクチンや抗ウイルス剤はなく、感染したら症状が治まるまで我慢しなければいけません。その為、ノロウイルスの感染予防は、ノロウイルスを体内に入れないことが非常に重要になります。ノロウイルス感染予防のポイントは、ノロウイルスを体内に入れない為のポイントです。手洗いは、ノロウイルス感染の多くが、手指がノロウイルスに汚染され食品にふれたまま食べる事によって起きます。最も手指がノロウイルスに汚染されやすい場所は、トイレです。ですので、トイレの後は、必ずノロウイルスに汚染していると思って手洗いをするようにしましょう。手荒いの方法も説明していますのでチェックしましょう。次に料理の十分な加熱です。ノロウイルスは熱に弱い性質があります。その為、十分に十分に加熱することでノロウイルスを不活化(死滅)させることができます。厚生労働省もノロウイルス食中毒予防で食品の加熱を推奨しています。加熱の目安は、中心温度85度から90度で90秒以上です。電子レンジによる加熱でもノロウイルスを不活化(死滅)させることができます。最後に家族の健康管理です。これは、ノロウイルスが家族から感染する二次感染が多く注意が必要です。特にノロウイルス患者さんが使用した後のトイレなどは、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒をシッカリする様にしましょう。以上、3点をしっかり守り今年はノロウイルスに感染しないようにしましょう。
10月以降に発生したノロウイルス感染症やノロウイルス食中毒
11月9日岐阜県は、各務原市鵜沼三ツ池町の自動車工場で社員食堂を利用した男女50人が下痢やおう吐などの症状を訴え、11人からノロウイルスが検出されたと発表した。
11月2日
長崎県は、大村市の小学校で77人が下痢やおう吐などの症状を訴え、4人からノロウイルスが検出されたと発表した。
多治見市は、同市元町の保育園の園児62人と調理員や保育士9人が下痢やおう吐などの症状を訴え、2人からノロウイルスが検出されたと発表した。園児が1人が入院した。
10月30日
東京都は、品川区上大崎の居酒屋の客52人が下痢やおう吐などの症状を訴え、患者と調理担当者からノロウイルスが検出されたと発表した。1人が一時入院した。
福岡市は、同市中央区の幼稚園で園児と職員14人が下痢やおう吐などの症状を訴え、患者からノロウイルスが検出されたと発表した。
10月27日
千葉県は、山武市蓮沼ニの旅館の客14人が下痢やおう吐などの症状を訴え、8人からノロウイルスが検出されたと発表した。
相模原市は、店「JAPANESE DIBING 和民」の淵野北口駅前店(以下、「和民 淵野辺北口駅前店」)で飲食した利用客が、発熱、腹痛、下痢の症状を訴え治療していると相模原保健所に連絡があった。
10月26日
千葉県は、浦安市のこども園で園児と職員31人が下痢やおう吐などの症状を訴え、6人からノロウイルスが検出されたと発表した。
10月17日
埼玉県は、ふじみ野市福岡の弁当店の弁当を食べた48人が下痢やおう吐などの症状を訴え、4人からノロウイルスが検出されたと発表した。
10月14日
宮城県は、8日~14日までに、石巻市の小学校で児童65人と職員4人が下痢やおう吐などの症状を訴え、2人からノロウイルスが検出されたと発表した。
東京都福祉保健局は、渋谷区の仕出し弁当店が10月5日と6日に調製した弁当を食べた15人が下痢やおう吐などの症状を訴え、患者と調理従事者からノロウイルスが検出されたと発表した。
10月13日
柏市は、市内の柏第一小学校の児童19人が下痢やおう吐などの症状を訴え、6人からノロウイルスが検出されたと発表した。
10月11日
高崎市保健所は、高崎市栄町の飲食店「上海ダイニング華龍」の客2人が下痢やおう吐などの症状を訴え、患者からノロウイルスが検出されたと発表した。
10月9日
埼玉県は、東松山市箭弓町の旅館「紫雲閣」の客16人が下痢やおう吐などの症状を訴え、患者10人と従業員1人からノロウイルスが検出されたと発表した。
島根県は、安来市安来町の居酒屋で客25人が下痢やおう吐などの症状を訴え、患者からノロウイルスが検出されたと発表した。
10月8日
徳島県は、徳島市の保育所で乳幼児や職員21人が下痢やおう吐などの症状を訴え、1人からノロウイルスが検出されたと発表した。
10月7日
宮崎県は、西臼杵郡内の保育施設で園児や職員40人が下痢やおう吐などの症状を訴え、7人からノロウイルスが検出されたと発表した。
10月6日
群馬県は、みなかみ町の旅館で客17人が下痢やおう吐などの症状を訴え、7人からノロウイルスが検出されたと発表した。